石綿とかアスベストとか

石綿まとめ

2021/4/1

近年石綿に関する法律やガイドラインが頻繁に更新されています。解体工事を生業とする弊社としても常に新しい情報を正確に把握しておく必要があります。
 2020年10月から施行された規則の中に、「石綿含有ケイカル板を撤去する際は現場を隔離すること」ってあるんですが、ここ何年もずっとそのつもりで作業していたのですが、法律として定められたのが”今”って・・・。今までは何だったんだろうとか、今でもケイカル板以外のレベル3含有建材については撤去時に作業場所の隔離が義務付けされていないんです。今までてっきり法律だと思ってやってきたことは実はガイドラインだったり努力義務だったり、「やらなければいけない」の言葉の定義が曖昧なんですよね。そんなこともあるので気になることは自力で調べて忘れないようにここに書き留めておきます。
 2021年4月1日から外壁の塗材について取扱いが変わりました。「吹付材」ではあるのですが、一般的に鉄骨の周囲に使われるような「吹付アスベスト」に比べると飛散性が著しく低いということで、レベル3的な扱いが許されることになりました。これにより作業計画の届け出義務がなくなります。作業方法にも変更があります。手作業か、吸引機能のある工具を使うか、または現場を隔離するかのどれかを選択すればいいことになります。また隔離はこれまでのような目張りや負圧を作る必要はありません。
 同じように2021年4月1日から調査方法の明確化と調査結果の3年間の保管が義務付けられます。ただし調査方法としてはこれまでと同様、「資料や聞取りによる調査と目視によるもの」で済みます。

弊社の石綿関連の資格者

2020/11/27

石綿取扱作業特別教育終了者 10名
石綿作業主任者 2名
建築物石綿含有建材調査者 1名

最近の様子

2021/1/23

【見積の段階で調査】
 石綿則では、解体業者に石綿調査を義務付けていますが、解体工事のお見積書を提示して工事を受注してから調査をしていたのでは工期も費用も確定しないので、解体工事のお見積りををお出しする前に石綿の調査だけをやってみるというケースが増えています。また、石綿の分析費用はあれこれで5万円くらいしますから小規模な建物の場合は怪しい建材を石綿とみなして施工したほうが安全で安価に済むことがありました。非飛散性の場合は仮設もそれほど大がかりではありませんし、石綿の処分費は高いのですが1軒で使われている石綿の体積はそれほど多くないのです。

【着工前にすること】
 現場で出くわす石綿の9割以上が非飛散性です。非飛散性の場合、着工の7日前までに市や県に提出する建設リサイクル法(環境省)に添付書類として石綿の使用状況を調べた用紙を1枚つけます。それと、現場に石綿作業主任者を1人配置できるのか、実際に作業を行う予定の人が石綿作業の特別教育を受けているか確かめておきましょう。飛散性を扱う現場では更に特別管理産業廃棄物取扱責任者もいりますし「やり慣れている専門業者に委託する」ほうがいいです。私もそうしています。作業計画も手順書も添付書類まで入れるとかなりのボリュームになるので慣れないと準備に相当時間がかかります。専門業者はいつも使っているテンプレートの必要なところだけを書き換えればいいだけなので短期間で書類を仕上げられます。手続きについて詳しくはこちら

【実際の作業 非飛散性】
 作業員に石綿の作業があることを伝える必要がありますが、これは作業の打合せの中で普通に周知されます。現場に石綿に関する調査結果を提示して近隣の方に周知します。
非飛散性の場合、法律的にはケイカル板を撤去するとき以外は作業場所の隔離は義務ではないのですが、業界のガイドラインや近隣に対する配慮も含めて非飛散性の石綿を扱う場合であっても仮囲いはした方がいいと思います。囲いは建物が完全に隠れる高さまであげれば天井は必要がありませんし、シート間の目張りも不要とされています。
 作業員はマスク必須。まず散水、湿潤ですね。水を使って石綿が飛散しにくい状態を作ります。そしてできるだけ建材を傷つけないように手作業で取り外します。そうは言っても釘で固定されたケイカル板は道具を使わないと取り外せません。義務にはなっていませんが、これからは集じん機付きのディスクグラインダーだとかへパフィルター付きの掃除機だとか、石綿を周囲に飛散させない工夫が必要になりそうです。

【実際の作業 飛散性】
 法律では事細かく定められていることになっていますが、現場では悩ましいケースが多くて、工法についても何が良くて何がダメなのか曖昧です。新しい工法が認められたり認められなかったり。管轄官庁に問い合わせても明確な答えがもらえなかったりで、よくわかりません。やり慣れている専門業者ならファウルラインを経験で知っているので安心して任せられます。

最近の石綿関連法改正

2021/1/23

2020年7月1日石綿障害予防規則改正公布
2020/10/1施行 レベル3建材除去時の切断破砕原則禁止
2020/10/1施行 含有ケイカル板の切断破砕は作業場所の隔離
2021/4/1施行 レベル2も作業計画提出
2021/4/1施行 石綿の有無によらず80m2以上は労基署へ
2021/4/1施行 レベル1は除去後の囲い撤去に資格者による事前確認必要
2021/4/1施行 事前調査方法の明確化
2021/4/1施行 事前調査結果を3年間保存
2021/4/1施行 レベル1のみなし規定
2021/4/1施行 含有塗料のグラインダー除去作業は作業場所の隔離
2021/4/1施行 作業計画に基づく作業記録を3年間保存
2022/4/1施行 事前調査届け出義務化
2023/4/1施行 事前調査は有資格者による
 

建物を解体しようと思ったら

2020/11/27

 建物を解体したいと思ったら、まず建物に石綿が使われていないか調べた方がいいです。健康被害を防ぐことはもちろんですが、今は石綿について世間の関心も高くなっているので解体の手順も石綿の有無でけっこう違ってきます。解体費用にも影響してきますから、まずは石綿の有無を調べることが大切です。目で見ても分からない場合は専門の分析機関にお願いして調べてもらうことになりますが、1つの建材を調べてもらうのに5万円程度かかります。
 一番まずいのは石綿が使われているのに気づかずに作業していて近所の人に指摘されて工事が中断とか健康被害で裁判とか、話が解体どころじゃなくなってしまうことですね。解体工事を施工する業者には事前の調査が義務付けられました。よって解体工事の見積書には石綿調査費用が追加されます。

アスベストとは

2020/11/27

 石綿とも呼ばれ、天然の鉱物繊維です。耐火性があり丈夫であるという特性から1956年(昭和31年)から建材にも多く使われてきました。しかし、発がん性があるということで2012年(平成24年)以降は使用・製造が禁止されています。たとえばクリソタイルでは繊維の太さが0.02μm程度です。化学的には含水ケイ酸マグネシウムがFe、Alを不純物として含んだようなもで、天然鉱物ですから、天然の珪藻土を使った商品に天然由来の石綿が意図せず含まれていたという実例もあるようです。

石綿が使われていそうな場所

2020/11/27

 石綿が使われていそうなところは大体目星がつきます。
屋根(コロニアル、スレート板)
外壁(サイディング、モルタル下地、塗装)
軒(ケイカル板)
床(ビニルシート)
壁(石膏ボード、吸音板)
配管(保温材)
今一番やっかいだと感じているのが外壁の塗装です。塗装に少し石綿を入れてた時代があったらしいんです。それがローラーで塗ったものならさほど問題ないんですけど、吹き付けたものだと「吹付アスベスト」っていう呼び方になって取り除くのにべらぼうな費用がかかってしまいます。同じ材料でも塗ったか吹いたかで対応が違ってしまうという、そして費用も段違いという、なんとも釈然としない感じですが。

調べるのは誰の義務

2020/11/27

 一応、石綿則では解体をする業者が石綿の有無を調べて施主様に報告するということになっているようです。調べた人はその内容を3年間保管しなければならないようです。

石綿があったらどうなの

2020/11/27

 よほど古い小屋とか物置じゃなければ、まぁまぁ少しは使われていると思います、残念ですけど。でも大概はレベル3と呼ばれるもので、石膏ボードとかケイカル板とか床のタイルだとか固い建材に少し混ざっていますくらいなのでそれほど大変なことはないです。しっかり水で濡らして石綿が舞わないようにして丁寧に取り外せば環境的にも費用的にもそんなに影響ないです。問題は「吹付」っていうレベル1と呼ばれてるもので、代表的なのは鉄骨にまとわりついてるモフモフの綿のようなもの。これは石綿を取り除くだけですぐ200万とか300万とか費用がかかってしまうやっかいなものです。防護服着てやるような工事ですし、事前の手続きもけっこう面倒くさいです。

石綿の何が問題な

2020/11/27

 ざっくり言って体に悪いです。ほんの少量でも肺に入ってしまうと病気の原因になってしまう可能性が高いんだそうです。しかも質が悪いことに石綿が肺に入ってから病気が発症するまで20年もかかる場合もあって、子供の頃に原因があって、そんなこと忘れて成人してから病気になった例もあるようです。しかも肺ですから、症状はめちゃくちゃ苦しいんだそうです。
 家族や近所の方、それから作業員、その家族がそんな質の悪い病気にかかってはいかん!というのが、今やっきになって石綿関連の法律を厳しくしてる理由のようです。

レベル1とか3とか

2020/11/27

・レベル1→かなりやばい。
「吹付」と呼ばれるものです。何がって飛散しやすさが問題ありです。耐火や断熱、結露防止を目的に吹付工法で施工されています。1956年(S31年)から使用されましたが、早々に問題が指摘され、1975年(S50年)には特化則の改正で5%を超える吹付作業が原則禁止になりました。1995年(H7年)には1%を超えるものが禁止になり、2005年(H17年)には石綿則制定で全面禁止に。業界自主規制によって1989年(H1年)には吹付材の石綿含有量はゼロになっていたいという情報があります。外壁の塗装に使われていたものが最近の解体現場で問題になっています。
・レベル2→ほぼほぼレベル1
耐火被覆板として石綿含有耐火被覆板やケイ酸カルシウム板第二種、保温材として石綿含有けいそう土保温材や石綿含有シリカ保温材が、断熱材としては煙突用石綿断熱材や屋根用折版石綿断熱材などがあります。除去作業はレベル1に準じることになっているので、現場でみつかればほぼレベル1が見つかったのと同じ気持ちです。
・レベル3→まぁまぁそれほどでも。
レベル1、2に該当しない残り全てがレベル3扱いになります。輸入された石綿の93%はレベル3の建材に使用されていたようで、建物のいたるところに使われています。スレート、ケイ酸カルシウム板第一種、ロックウール吸音天井板、石膏ボード、壁紙、ビニル床タイル、巾木、ルーフィング、パッキン、ブレーキパッド・・・挙げるときりがありません。2004年(H16年)には石綿含有の建材は製造されていないようですが、在庫の使用などを考えると2006年(H18年)あたりまでは使われていると考えた方がよさそうです。

着工前の手続き等

レベル1着工前の手続き

2020/11/27

【工事計画書】
安衛則に基づいて事業者が着工14日前までに労基署に提出。規模要件無

【建築物解体等作業届出書】
石綿則に基づいて事業者が着工前日までに労基署に提出。規模要件無

【特定粉じん排出等作業実施届出書】
大防法に基づいて発注者が着工14日前までに県環境課に提出。規模要件無

【調査結果の掲示】
受注者が調査結果を発注者に説明して、解体現場にも結果を掲示。規模要件無

【事前届】
建リ法に基づいて発注者が着工7日前までに県建築課に提出。80m2以上

レベル2着工前の手続き

2020/11/27

【建築物解体等作業届出書】
石綿則に基づいて事業者が着工前日までに労基署に提出。規模要件無

【特定粉じん排出等作業実施届出書】
大防法に基づいて受注者が着工14日前までに県環境課に提出。規模要件無

【調査結果の掲示】
受注者が調査結果を発注者に説明して、解体現場にも結果を掲示。規模要件無

【事前届】
建リ法に基づいて発注者が着工7日前までに県建築課に提出。80m2以上

レベル3着工前の手続き

2020/11/27

【調査結果の掲示】
受注者が調査結果を発注者に説明して、解体現場にも結果を掲示。規模要件無

【事前届】
建リ法に基づいて発注者が着工7日前までに県建築課に提出。80m2以上

石綿関連法令の変遷

2020/10/1

1960 じん肺法制定
1971 厚)労働基準法特定化学物質等障害予防規則制定
1972 厚)労働安全衛生法制定 特化則が再制定
1975 厚)労働安全衛生法改正 石綿5%超規制
1989 環)大気汚染防止法改正 石綿を粉塵として環境基準制定
1991 環)廃棄物処理法改正 廃石綿を特管に指定
1995 厚)労働安全衛生規則改正 吹付石綿除去の事前届出
2005 厚)石綿障害予防規則制定 特定化学物質等障害予防規則から分離
2013 環)大気汚染防止法改正 事前調査及び説明の義務化

 まず厚労省から。そもそも労働基準法や鉱山保安法、結核予防法といった法令により労働者の健康保全に関して規定がありましたが、肺に関する障害はこれらの法令でカバーしきれないほど対応が難しいことから、1955年に「けい肺および外傷性せき髄障害に関する特別保護法」が制定され、さらにそれを前身として1960年に「じん肺法」が制定されました。じん肺法では例えば健康診断に関する規定が定められました。
 1971年に特定化学物質等障害予防規則が制定されました。翌1972年9月18日に労働基準法から労働者の安全と衛生に関する規定を独立させる形で労働安全衛生法が制定され、同年9月30日に安衛法の下に改めて特定化学物質障害予防規則が再制定されました。
 2005年、特定化学物質障害予防規則から石綿に関する規定が独立して石綿障害予防規則が制定されました。

続いて環境省。1989年に大気汚染防止法を改正し、石綿を粉塵として認め、環境基準値を制定しました。そして1991年には廃石綿を廃棄する際に普通産廃ではなく特管物として扱うように指定しました。

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